はじめに
ThinkCentre M75s Gen5ではDASH(IntelAMTみたいなリモート管理機能のAMD版)が使えるらしいので、使い物になるかを見てみます。
結論から言うと無効のまま生活した方が良さそうでした。まる。
構成情報
- ThinkCentre M75s Gen 5
- BIOS: M4RKT2BA
- Realtek Dash Firmware-AAR: 5.1.26.32ed6d00
- Realtek Management Console: 0.5.9.525(x86)
- AMD Management Console: 10.0.0.1196
BIOS設定
まず、ThinkCentre M75s Gen 5ではDASH機能はデフォルトでは無効になっています。
BIOS画面を開いて、Advanced Setup -> DASH -> DASH enbale を enabled
にして、一度電源を落として電源ケーブルを抜いて挿し直します。
残念ながら、単にOSからシャットダウンするだけだとDASH機能が立ち上がってこない場合があるので、疑わしい場合は電源ケーブルを一度抜くことが重要です。
Realtekでlspciを検索した結果
lspciからはDASH用のデバイスが以下のように見えました。
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入れるツール
どっちを入れても良いですが、AMD Management Consoleは全体的に機能不足なので、Realtek Management Consoleを使用した方が良いと思います。DASHを利用するのであれば、という前置き付きですが。
- Realtek Management Consoleアプリケーション | ドライバの詳細 | Dell 日本
- 何故かDELLから入手できる
- AMD Manageability Tools for IT Administrators
- AMD Management Consoleをダウンロード
Windowsの場合はRealtek Driverを入れてDASHの有効化を確認する必要がありそうです。
今回はLinuxで操作するので、特に対応は不要のはずです。
ただ、この記事の範囲外でOS入れ替え前に起動確認をした時にRealtek Driverを入れてDASHの有効化を確認したので、全く影響がないのかは定かではありません。
初期接続
まず、DASHのアドレス設定はDHCPなので、何とかして探す必要があります。
kea-dhcp4を使っている場合は grep DHCP4_LEASE_ADVERT /var/log/kea-dhcp4.log
とかで探せばいいと思いますが、とりあえず力業でnmapを叩いて 623/tcp
と 664/tcp
が空いているやつを探しても良いでしょう。
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Realtek Management Consoleに接続先を登録する時に探すことになるので、ネットワークスキャンする場合は後でも構いません。
認証情報
公式に初期アカウントが提供されているはずだけど見つからないので、インターネットを彷徨っていたらM75q Tiny Gen 5を購入した人のblogに可能性のありそうなアカウント情報が書かれていました。
DASHでマシンにアクセスするために使うユーザー/パスワードは初期状態だと基本的に共通だったところ、今回はパスワードが変わっている。
- User: Administrator (大文字小文字を区別)
- Password: Lenovo (大文字小文字を区別)
ダメ元で試すとこれで接続できたので、解決したことにします。
Realtek Management Consoleの場合
AMD Management Consoleの場合
しかし、どうやら接続後も任意のPasswordに変更したり管理アカウントを無効にすることができませんでした。。
IPアドレス設定
他のLenovo製品ではBIOS画面からIPアドレスやパスワードが設定可能な機種もあるようですが、ThinkCentre M75s Gen 5 では出来ません。 無事に接続した後であれば固定IPを設定できるので、最初だけ我慢しましょう。
Realtek Management Consoleから情報を眺めてみる
Realtek Management Consoleで見たBIOS Firmware
Realtek Management Consoleで見たRealtek Dash Firmware
DASH機能の活用
電源操作
電源操作は簡単です。Remote Controlから電源操作用のボタンをダブルクリックすると、確認ダイアログが出て実行できます。
Console Redirection - Start KVM (BIOS画面)
Console Refirectionのタブから、BIOS画面に入ることも可能です。
電源を入れ直してから「Start KVM」ボタンを押すと、TightVNCが起動して画面が転送されてきます。
Lenovo ThinkCentreの場合はF1でBIOS、F12でBoot order画面なので、VNCに向かってF1を叩いていればBIOS画面に入って操作できます。
仮想マウスも機能するので、グラフィカルなBIOS操作もマウスで選択可能です。
Console Redirection - Start KVM (OS画面)
Start KVMを実行してOSの画面が転送は確認できませんでした。 例えば、OSが起動済みの状態でRealtek Management Consoleから、Console Redirection -> Start KVMを実行すると、OS側では新しいデバイスの接続が確認できます。
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見る限り、マウスやキーボードと言った仮想デバイスの接続が確認できます。
そのため、一応KVM機能を動作させようとしていることは伝わってきます。
ただ、転送されてくる画面はScreen Size的に表示できないのか、壊れたテレビのようになってしまいました。
Windowsの場合や、Serial Consoleだけで利用する場合は動作するかもしれません。
OSがデバイスの認識をある程度しているのだから解決方法があるようにも思えますが、そこまで探る気力はありませんでした。
DASH機能の不安定さ
上手くDASH機能が立ち上がっていない場合は、正しいIPアドレスであっても、Connection Failed!と言われて接続できず、下図のようになります。
動作確認をしていた範囲では、単にOSをpoweroffコマンドで落とした場合も、それ以降DASHが停止して動かなくなり接続しようとすると同じエラーになります。
手動で電源を入れてOSが起動してくるとアクセスできる場合がありましたが、それでも復活しない場合は電源ケーブルを1度抜いて、再度挿し直す必要がありました。えぇ…
電源操作を調査するため、何度か電源断やシャットダウンを試していたのですが、思いのほか頻繁にDASH機能が立ち上がってこないことがあり、かなり不安定な印象です。
落雷による停電、その後の復旧であれば電源ケーブルの抜き差しと同等なので遠隔操作で起動できそうな気もしますが、予期せぬ電源断の場合は多分After Power LossのLast Stateを参照して起動してくると思います。(未検証)
DASH CLIの利用
Linuxで使えるDASH CLIもあるみたい M75q-1 TinyをWindows以外からでもリモート管理したい - ぽよメモ なので、一応見てみます。
Install dashcli
https://www.amd.com/en/support/downloads/manageability-tools.html?utm_campaign=dash&utm_medium=redirect&utm_source=301 から dashcli_7.0.0.2497_amd64.deb をダウンロードできるようです。
サポートOSは Ubuntu 24.04 LTS
と書かれていましたので、Dockerを使ってインストールしてみます。
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apt installを使って依存関係を一度に解決しているので、途中にTimezoneの質問やdashcliのEURA確認が発生すると思います。
少しだけ動かしてみる
無事にインストールが完了したら、簡単にコマンドが叩けるかどうかだけ確認します。
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KVMなどに頼らず、CLIの範囲で使う方が安全かもしれませんね。
その他参考資料
- GIGABYTE Realtek Dash Management Console
- ValidationMemo: M75q-1のDASH環境の有効化手順について
- AMD DASH を使う環境を整える。 » かけまわる子犬。
- Discovering DASH systems using DASH CLI - AMD Community
終わり
DASHが便利に使えたら良いなと思っていたのですが、Intel AMT同様電源のON/OFF機能くらいの認識で留めておいた方が無難そうに思えました。
そうでなくてもシャットダウンしたらDASHも落ちて沈黙してしまうのは結構致命的な気がします。
ひとまず、弊環境ではデフォルトのDisabledに戻して、電源管理&リモートKVMはNanoKVM-PCIeに一任しようと思います。
おしまい。