サマリー
ThinkCentre M75s Gen 5のDASH(IntelAMTみたいなリモート管理機能のAMD版)が使い物にならなかったので、
代わりにNanoKVM-PCIeを搭載するためのあれこれです。
引っかかるポイントはThinkCentreシリーズのM/Bピンのピッチが2.0mmで、一般的な2.54mmではないことです。
NanoKVM-PCIeに付属するケーブルも2.54mmだったので、ピッチ変換用のケーブルを調達して何とかなりました。
NanoKVM自体の説明については調べれば大体のことは分かるので紹介程度です。
構成情報
- ThinkCentre M75s Gen 5
- NanoKVM-PCIe
配線用の追加調達物品
- Amazon.co.jp: TENDOC ジャンパーワイヤ(オス-オス)(20cm)
- Amazon.co.jp: uxcell ジャンプワイヤ 2.0mm メス 2.54mm メス
- Amazon.co.jp: uxcell ピンヘッダー ストレートオスPCB 40ポジション 2 mm間隔
- Amazon.co.jp: Linkman ピンヘッダ 40ピン[20ピン×2列]2.54mmピッチ
NanoKVM-PCIeの開封
パッケージ箱は本体と付属ケーブルの2段構造。
中身は本体、ブラケット、Type-Cケーブルが2本、メス-オスなジャンパーケーブルです。
付属のHDMIケーブルは配送用の段ボールに同梱されていて、パッケージの箱とは分かれていました。
NanoKVM-PCIeの裏側にはKIOXIAの32GB SDカードが付属しています。
WifiとPoEはどちらも使わないと割り切って最も安い構成を選択しています。
調達当時の価格はNanoKVM-PCIe Ethの3個セットが$138.00 USDで20,598円なので6,866円/個ですね。
最初の動作確認
NanoKVM-PCIeの入手も初めてだったので、ひとまず画面転送周りが動くか確認していきます。
ThinkCentreにはPCIeスロットが2個しかない(x16とx1が1個ずつ)ので、とりあえずx1の方に挿します。
ここまでで、ひとまず画面転送周りは問題なさそうなことが確認できました。
電源ピン周りの対応
さて、次は電源操作です。
何といってもエンタープライズなIPMI機能と勝負するためには、電源操作が出来ないといけません。
NanoKVM-PCIeでは、PCIeの待機電力供給を使っているので、基板が電源に接続されていれば動作します。
問題はThinkCentre M75s Gen 5の基板側の電源ピンが2.0mmピッチということです。
そのため、NanoKVM-PCIeに付属してきたジャンパーケーブルでは配線できません。
追加調達した2.0/2.54mmピッチ変換ケーブルを間に挟んで何とか配線します。
まずは公式の Quick Start - Sipeed Wiki を確認します。
NanoKVM-PCIeに最初から付属するジャンパーケーブルと、追加調達したケーブルやピンヘッダをやりくりして、何とか以下の写真のように結線しました。
また、ThinkCentre M75s Gen 5の筐体にはリセットボタンはありませんが、NanoKVMの管理コンソールにはあります。
ということで、マザーボードと接続しさえすれば機能としては利用できます。
こちらのサイトが非常に参考になるので、追加で配線する人は同様に結線してみてください。
Lenovo ThinkCentre M75s Small Gen2にリセットスイッチを増設する方法 (How to Add RESET switch to Lenovo ThinkCentre M75s Small Gen2)
また、 User Guide - Sipeed Wiki #ATX-Power-Control に書いてある通り、ディスクLEDは動かないようです。
USB-HIDピン周りの対応
更に、USB Type-Cで接続されている仮想マウス&キーボードについてもマザーボードに直結したいところです。
元々は追加の外部USBが収まっていた場所があるので、これをどかします。(※わざわざオプションで増設したくせに)
マザーボードのF_USB1が使えるので、電源ピンと同様に結線します。
これでOK。
これまた、こちらのサイトがとても参考になりました。ありがとうございます。
Lenovo ThinkCentre M75s Small Gen2のマザーボード上のコネクタの USB等のピン配置の情報 (Lenovo M75s Small Gen 2に自力でマザーボードのコネクタに配線して USBや LPTを増設する方法)
NanoKVM自体のちょっとした設定
固定IPの設定
公式サイト Static IP - Sipeed Wiki によれば、固定IPに設定することが出来るようです。
デフォルトではDHCPでしたが、固定IPに再設定しておきます。
こんな感じですね。
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SSHの公開鍵認証
SSHのログインパスワードが root
/ root
のままというのは好ましくないので /root/.ssh/authorized_keys
に公開鍵を置いてパスワード認証を無効にしておきました。
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なお、これをやるとWebコンソールから NanoKVMターミナル
や シリアルポートターミナル
が起動できなくなりますが、使わないので無視することにしました。
(おまけ)NanoKVMでSmart Power On機能は動かない
ThinkCentre M75s Gen 5には、面白い機能として Alt + P
キーで電源を入れるSmart Power On機能があります。
これは物理キーボードを特定のUSBポートに差し込むと機能します。
少々分かりにくいかもしれませんが、背面にキーボードマークのあるところです。
物理キーボードを接続して試してみたところ、電源OFFの状態からうまく起動したのですが、このUSBポートにNanoKVM-PCIeのUSBポートを繋いでNanoKVMの管理コンソールから Alt + P
を叩いても起動しません。
動いたら電源配線を諦めても別の手段として使えそうだったのですが、残念です。
これもあって、筐体の外側に仮想マウス&キーボード用のUSBを出す必要は無いなということで、筐体内に押し込んだのでした。
おしまい
今のところはこんな感じで落ち着いています。すっきり。
NanoKVM-PCIeは本格的なPowerControlとKVM機能を後付けできて、凄く良い製品です。
仮想ディスクのリモートマウントもできるので、エンタープライズなIPMI機能の操作面で必要なものはほぼ揃っています。
DASHなんて要らなかったんだという気持ちになりますね。
今のところの計画では似た構成のThinkCentre M75s Gen 5をあと2台調達するつもりなので、同じような構成でキッティング予定です。
長年元気に動き続けてくれるパーツなら良いのですが、その点はまだ未知数です。
3,4年経ったあたりで急に壊れたりしないことを祈ります。